小さな巨人と煙と共に
たいへんいまおきました
週末の狼藉が貯まり、夜勤明けから寝て起きたら19時でした。助けてくれぇ〜っ。
シフト表に知らん人の名前が入っている。まあ入ったばかりの私の方が皆にとっては知らん人なのだが。どうやら新しく採った人らしい。新生活の時期とはいえ、人の入れ替えが多いのは少し怖い。相変わらずバックヤードは満煙で、肺が狭くなっているように感じる。訴えようやあ。おぉいぃ!(小学校高学年のキレ方)
そいつっぽい人が入ってきた! 年上か!? 年下か!? 女か!? 男かでっっか。
正解は、私より15cmは高かろう、茶髪の男子学生でした。
「Kですよろしくお願いします」
K君は研修を終えたとはいえ、人生で初めてのアルバイト、研修でない正式な初シフトだという。「色々教えてアゲテネ」と煙の男(通称店長)が言う。冴えない雰囲気だが、モテはしそうだ。いいなあ。
「僕自分から動くのが苦手で…やること教えてもらえると助かります」
場所によっては「ハァ?」と言われるかもしれない。(何このちいかわブーム)でもそれってごく普通のことだと思うんだ。自分で勝手に動いてミスしてもアレだし、仕事を知らないうちは尋ね続けるのが正解だ。私は「ハァ?」とは言わない。
「ポイントカードはお持ちですか レジ袋はおつけしますか」
ただ声がビビるほど小さい。勤務開始から終わりまで小さい。客と同じ距離にいる自分が聞き取れない。ずっと「あぁ怒られる、怒られるってぇっ」って本当にビビってた。ところが怒られてはいなさそうだったし、私も指摘できなかった。「声小さくねぇかぁ?」とか一番新人が萎縮するやつやん、と思ってたから。そういうタイプの店員もいるよね、って、客も寛大な心でいてほしい。
「さくらばさんコーヒー飲めます?」
「んもおバリバリ。ゴクゴク飲みますよ。K君は飲まない?」(初回特有の敬語タメ語混じり)
「飲めないっすね。いつも水しか飲まないです」
「健康的だあ」(?)
私があまりストレスを与えなかったからか、K君は私に萎縮はしていなさそうで、よかった。洗い物とかレジ点検の合間の時間に、私語の空気になっても私からは喋れなかったが、K君から話題を振ってくれた。お互いよくわかってない内の話題としてはベストじゃないか。やっぱモテそうだなお前。
とはいえ、そんな上辺だけの話題じゃいつまで持つかわからない。何か私からK君へ、個人情報開示しないとなあ、と思いながら接客していると、とある高身長の男性に頭を下げられた。
「息子をよろしくお願いします」
お父様やないかい。
急な親御さん登場シーンに、私は「ああぁはいぃお疲れ様であぁす」と狼狽してしまった。知らん新入りの知らん親なんて気にする必要はないのだけれど。
しばらくは私と全く同じ日のシフトらしい。共にやっていこうじゃないか、K。とはいえ、歳も聞いてないから、もしかしたら雰囲気だけで本当は年上なのかもしれない。あと1時間で勤務だよはやーい!