若さ生活(酒を飲まないこと)
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。ねえ、あそこにねえ、酔っ払って寝っ転がってる子がいるのよ」
朝っぱらだ。微妙に顔が馴染んできたおばちゃんがパタパタ入店してくるや否や、清掃する私を呼んだ。そういえば、1時間ほど前に来た爺さんも同じことを言っていた気がする。
正直知ったこっちゃないんだそんなこと。店の目の前にいるわけでもなし、誰かを襲ってるわけでもない。でも「はぇー、そすか」じゃ済ませんじゃろう? 早朝の無人をいいことに、私は店を後にし彼女に連れられた。
酒屋のシャッターすらない、マジの道端。明け方の青空の下、私と同じくらいの齢の男が、無防備の象徴といえる姿で干されていた。
「死んでるんじゃないかと思ったけど、いびきはしてるのよね」
顎マスクに半開きの口。一番放り出しちゃいけないスマホと財布だけをほっぽっている。醜態と笑われるだろうが、それはまるで、昨今の鬱憤を存分に晴らした本能的有様じゃあないか。
「これあれね、盗られてるわこれ、絶対」
どうしましょうかね。どうしようねえ。そう二人で言い合いはしたが、彼女から手を伸ばす様子は1ミリもなかった。これ、俺がやれってことだよな……? 私はおずおずと近づいて、軽い気がする財布とスマホを、手元の鞄に押し込むことだけした。後で指紋鑑定とかされて、濡れ衣着せられたらたまったもんじゃないな。流石にないか。あったらダベリバのネタにしよう。
我々のそばを、頑丈そうな別の爺さんが軽装でランニングしていった。酒に倒れた若造と老体を奮わせる爺。齢に沿った振る舞いなんて、本人がその気になりゃ簡単に覆せるのだなあ、そう感じたし、今後も感じていきたい。
昨日は睡眠を回す日といってね、呆れるな画面の前のお前。残る平日をちゃんとした生活リズムで送れるよう、夜まで寝ないで頑張っていました。寝ないと勉強は全く身に入らないし、生産性も0で、ご覧のとおりまた翌日投稿です。でも直したぜ、生活リズム。
夕刻の仮眠から目を覚ますとちょうど同居人が帰宅していて驚いた。そして夕飯を準備して、なんだか久しぶりに食卓を共にした気がする。子供のような彼だが、時には精神の頼りにしていきたい。